第25回 ジョニ・ミッチェル California

 昨年の暮れからかれこれ二週間以上せきが止まりません。いちばんひどいのは夜ふとんに入ったときで発作に見舞われたかのよう。ただそれを除けばほかに風邪らしい症状はないため、のど飴を舐めるくらいで今は済んでいます。しかし一体いつ終わるのだろう?
 
せきに悩まされた冬休みでしたが、1月3日のハーフマラソンの大会には無事行って来ました。その模様は近日UPする予定です。

 今日は、第1回のときに原詞の一部分を紹介した曲を訳しました。
 ジョニ・ミッチェル、“
California”。1971年に発表されたアルバム『Blue』に収められている曲です。『Blue』は、生ギターやダルシマー、ピアノを基調とした穏やかなサウンドで統一されているのですが、歌詞の方は、
「ダーリン。私はあなたをケース一箱飲み干すことだってできる。でももちろん倒れたりはしない。二本の脚でふみとどまってみせる」(“
A Case of You”)
 だとか、
「私は生きている。私は生きている。立ち上がり踊りまくるんだ。そうしてジュークボックスのある酒場に行ってストッキングを引きちぎりたい」(“
All I Want”)
 だとかいつにも増して勇ましいものが多く、それがアルバムの魅力となっています。

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「カリフォルニア」
(ジョニ・ミッチェル作)

 ここはフランス、パリ
 公園のベンチに座って新聞を読んでいる
 世界はまったくひどい有り様ね
 「平和にも機会を与えよ」とジョン・レノンは歌ったけれど
 彼らはそんなもの一顧だにしない
 それは私たちが見たつかの間の夢にすぎなかったのかしら
 まだまだ見たい土地はたくさんある
 しかしこんなところにずっとはいられない
 だいたいが旧弊だし 寒すぎるし 自分らのやり方に安住しすぎている
 でもカリフォルニアは

 カリフォルニア 私はそこに帰る
 大好きな仲間たちの顔が見たい
 もし帰れるのなら
 サンセット大通りの警官にだって私はキスをしよう

 ギリシャの島で会った田舎者の男
 山羊踊りを見事にこなす男
 彼のおかげで私は再び微笑みを取り戻すことができた
 もっとも私のカメラをしじゅう売り飛ばすような奴だったけど
 悪党 あの赤ら顔したろくでもない悪党め
 彼はオムレツとシチューを作るのがとても上手だった
 私はかの地で共に暮らすことになっていたかもしれない
 でも一方で私の心はカリフォルニアを求めて止まなかった・・・

 カリフォルニアよ
 素敵なロックンロールバンドのような気分にさせて
 いいこと
 私はあなたの最良最大のファンなんだから
 カリフォルニア あなたのもとに帰る

 歩いているととても寂しくなる
 町は見知らぬ人であふれている
 新聞に書いてある故郷のニュースがあなたにもたらすものは
 憂鬱(ブルーズ)
 そう ブルーズだけだ

 だから私はチケットを買って
 スペイン行きの飛行機に乗り
 赤茶けた道路をたどって あるパーティに出かけた
 まあ洒落た人たちばかりだったわね
 みんな『ローリング・ストーン』やら『ヴォーグ』やらを読んでいた
 「いつまであなたはここにいられるの?」と彼らは言う
 私は答える
 「一週間か、ことによると二週間。ちょうど肌がこんがり焼けるまでね
 そしたらいよいよ一路カリフォルニアへと向かうの」

 カリフォルニアよ
 どうか何も言わずに私を受けとめて
 あなたじゃない別の男にさんざんのぼせ上がった私だけど
 カリフォルニア 私は故郷に帰る

 町は見知らぬ人であふれている
 新聞に書いてある故郷のニュースは
 戦争のことだらけ
 それにいろんなことが目まぐるしく変わっている
 ああ どうか何も言わずに私を受け取って
 あるがままの私を

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第24回 フェイセズ Last Orders Please

 かみさんが言う。
「今年もあっという間だったね」
 私は悪いとは思いつつも、
「そうだろうか。あんなこともあったしこんなこともあったし、長い一年だったと思うよ」
 と、つい味気ない返答をしてしまう。
 本心だから仕方ないのだけれど。
 しかし去年の12月ユーミンの「海を見ていた午後」が突然頭の中で鳴り始めた日のことを思い出したら、あれから1年かと思わざるを得なかった。説明することはできない。CDやカセットで持っていたわけでもなかったのに。メロディはどこからともなく聞こえてきて頭から離れなくなり、そのまま年が明けてしまった。
 ソーダ水の中を貨物船が通る・・・。

 今日はロッド・スチュワート、ロン・ウッド、ロニー・レインらが在籍したイギリスのグループ、フェイセズ(
Faces
)の曲を取り上げました。
 “
Last Orders Please
”。1971年の彼らの3枚目のアルバム『馬の耳に念仏』に収められています。リード・ヴォーカルはロッド・スチュワートではなく、作者でありバンドのベーシストであるロニー・レインがとっています。
 何年か前に“
Last Orders Please”のデモ・ヴァージョンが世に出ました。メロディは同じなのですが歌詞が異なるため、“I Came Looking for You
”という題がついていました。それでデモの歌詞にこんな一節があるんです。

 
Innocence is gone
 Innocence is lost

 
フェイセズというグループの特色はこのフレーズに集約されていると思います。

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「最後に頼みたいこと」
(ロニー・レイン作)

 おやおやおや これはまた 元気かい?
 こんなところで君に会うとはね
 取り乱すなよ
 まったく誰が見てるとも限らないからな
 おい頼むぜ
 なんだってこんなときにミラクルズの「
Tracks of My Tears」がかかるんだ?

 すべては終わったふりをしようじゃないか
 それはずいぶん前のことだった、というようなふりを
 時が何もかも癒してくれるものだと思っていた
 それは間違っていたらしい
 責められるべきは俺にある
 たぶん俺たちはあまりにも若すぎたんだ
 分別などというものをどうして持ち得ようか?

 でも君は言った
 私は今でもあなたのことを思っています、と
 君は古傷を広げ
 そして立ち去った
 俺は血を流したままだ
 めった打ちにされ あざだらけになった俺の心
 なあいいかい 君には君の世界があるように
 俺にも俺の世界があるんだ
 支払わなくちゃならない借りなんてもうないはずだが
 俺たちはどうすればいいんだろう?

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第23回 エルヴィス・プレスリー (Marie’s the Name) His Latest Flame

 とにかく詞を読んでみて下さい。
 曲の方はまあ聴かなくもいいですから。
(いいのかな。こんなこと書いちゃって。)

 
(Marie’s the Name) His Latest Flame”。1961年のシングル曲です。邦題は『マリーは恋人』といいました。「世界一の色男」エルヴィス・プレスリーの歌がどんなものかを知るには恰好の一曲です。


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「彼のいちばん新しい恋人(その名はマリー)」
(ドク・ポーマス、モート・シューマン作)

 
古い友だちが今日やって来た
 あいつは誰彼構わず町中で触れ回ってるらしい
 ちょうど見つけたばかりの愛について
 マリー それは彼のいちばん新しい恋人の名前

 話すこと話すこと しょうがないから聞いてやった
 「おい。あんなに髪がまっすぐで長くて黒くて
 きれいな緑色の目をした女の子は世界中探したって絶対にいないぞ」
 マリー それは彼のいちばん新しい恋人の名前

 僕はにっこりと微笑んだが 心の涙は燃えさかっていた
 僕は幸運を祈るよと言い 彼と別れた
 姿は見えなくなったが 彼の言葉は頭の中をぐるぐると回り続けた
 泣くよりほかに今の僕に何をすることがあるというのか?

 信じられるかい
 昨日あの娘は僕の両腕の中ではっきりと言ったんだぜ
 「誓って言うわ。私は永遠にあなたのものよ」
 マリー それは彼のいちばん新しい恋人の名前




 エルヴィス・プレスリーは、内気なあまり女性関係ではいつもわりを食っている男の歌を好んで歌いました。
 “
Return to Sender”(「心のとどかぬラヴ・レター」)。
 “
One Broken Heart for Sale”(「破れたハートを売り物に」)。
 “
Good Luck Charm”(「グッド・ラック・チャーム」)。
 
A Fool Such as I”(「フール・サッチ・アズ・アイ」)。
 などなど。 

 ブルーズ・ブラザーズのジョン・ベルーシとダイ・エイクロイドのふたりが歌うレパートリーの世界とはまさに対極に位置するのが、エルヴィスの歌だと言っていいと思います。

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第22回 ニノ・テンポ&エイプリル・スティーヴンズ Deep Purple

 ニノ・テンポ&エイプリル・スティーヴンズという兄妹デュオが1963年に発表した、“Deep Purple”(邦題「夢のディープ・パープル」)を今回は訳しました。
 ビルボードのチャート1位を記録したといいますから、オールディーズ物のCDに収められていることも多いと思います。あの
I’m a highway staaaaar のディープ・パープルとはなんか関係があるのでしょうか? Wikipediaのディープ・パープルの項にはこう書かれています。
「1968年春の短いデンマーク・ツアーのあと、リッチー・ブラックモアは新しいバンド名を提案した。それが『ディープ・パープル』である。その名前は彼の祖母のお気に入りの曲にちなんで付けられた」
 おばあちゃんお気に入りの曲というのがまさしく今日取り上げる曲です。

 
男女のデュオなので男の一人称でも女の一人称でもどちらでも解釈が成り立ちますが、この歌の要は後半部分におけるエイプリル・スティーヴンズ(妹さんの方)の語りにあります。ですからエイプリルさんの言葉として訳しました。
 「夢のディープ・パープル」。私はわけもなく好きなんだなあ。ほんとに。

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「夢のディープ・パープル」
(ピーター・デローズ、ミッチェル・パリッシュ作)

 
濃い紫が
 眠るような庭の囲いを染めるとき
 星たちは天空にまたたき始める
 思い出の霧立つ中で
 私を求めてさまようあなた
 ため息とともに私の名前がこぼれ落ちた

 夜のしじまに
 私は力一杯に抱きしめた
 あなたが去ったあとでも あなたの愛が色あせることはない
 月の光が射せば 心臓が高鳴りつづけている限りは
 恋人よ いつだって私たちは会うことができる
 この深い紫の夢の中で

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第21回 ジョニ・ミッチェル Help Me

 ジョニ・ミッチェルの“Help Me”を初めて聴いたときのことはよく覚えています。聴いたのはCDではなくラジオのFMで、何よりも「これから時代は大きく変わっていくんだな」と感じました。60年代は私たちの遙か背後に過ぎ去ってしまったのよ、それがわからないの? というジョニさんの声が聞こえて来るようでした。彼女の4枚目のアルバム『Blue』にのめりこんでいた頃でしたから、わずかながらショックもありました。世の中はこの曲の指し示す方向を是とし、それに向かって進み、以後二度と元に戻ることはなかった、というのが私の例によって狭くて乱暴な歴史観です。
 “
Help Me”が世に出たのはアルバム『Court and Spark』においてでした。1974年1月のことでした。


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「私を助けて」
(ジョニ・ミッチェル作)

 
私を助けて
 性懲りもなく私はまた恋に落ちようとしている
 この狂おしい気持ちにとらわれたが最後
 トラブルに巻き込まれることは私にもよくわかっている
 と言うか もうじゅうぶんトラブルに巻き込まれているわね
 だってあなたは定住とは縁のない男だし ばくち打ちだし
 女と見ればすかさず甘い言葉をささやく男
 あなたは自分が愛しているということを愛している
 しかし自分の自由を愛するほどではない

 どうか私を助けて
 またろくでもないことになりそうなの
 私は急速に恋に落ちようとしている
 未来に対しては大きな望みを抱くけれど
 過去についてはくよくよすることばかりね
 だって私は熱い熱い炎が煙となり灰となって消えるのを
 これまでに何度も見てきたから
 私たち二人とも 愛しているということを愛しているのよね
 でも自分たちの自由を愛しているほどではない

 私たちはそこに座って語り合い
 あるいは語らずにただ並んで寝そべっていた
 それってすごく素敵なことだったじゃない?
 あなたはストッキングに穴があいた女の子と踊っていた
 そういうのってすごく素敵な気持ちがしたじゃない
 そうだったでしょ?

 助けて
 このまま行ったらあなたに恋をしちゃうんだと思う
 そしていつかあなたは
 私をたったひとりで歩かせ続けるつもりでしょう
 そんな悲しいことをするなんて信じられないことだけれど
 あなたはやるんだ
 私たちは至るところで戯れ
 じゃれつき
 そして互いを傷つけ合う
 私たち二人とも 愛しているということを愛しているのよね
 でも自分たちの自由を愛しているほどではない

 ジョニ・ミッチェルが浮き名を流した相手としてはベーシストのジャコ・パストリアスが有名ですが、彼女はこの曲を発表するまでの間に、私が聞き及んでいるだけでもデイヴィッド・クロスビー、グレアム・ナッシュ、ジェームズ・テイラー、ジャクソン・ブラウンの4人と深い恋仲になりました。壮観ですね。さぞや素敵な気持ちがしたことでありましょう。

 ブログとSNSのどちらを中心に据えるべきか決めかねていますが、とりあえず同時にUPしてみます。

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第20回 ザ・ローリング・ストーンズ Live with Me

 “Get Off of My Cloud”に続いて、再びローリング・ストーンズの作品を取り上げました。
 「俺と暮らさないか」
 演歌じゃないですよ。昔ありましたね。嫁に来ないか、僕のところへ。新沼謙治でしたっけ? やっぱりなんか演歌みたいな題ですね。いい邦題ありましたらご教示下さい。(嫁に来ないか僕のところへ、でもわるくないという気がしないでもないけれど。)

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「俺と暮らさないか」
ミック・ジャガー、キース・リチャーズ作)

 俺にはいやらしい習慣がある
 3時になるとお茶を飲むんだ
 それでもって夕食に食べる肉は
 最低一週間は吊るさなくてはならない
 俺のいちばんの親友は
 水辺に住んでるねずみを銃で撃って
 自分のガチョウの餌にしている
 どうだい
 俺のベッドのシーツの間には君にぴったりの場所があると思わないか?

 さあこっちへおいでよ ハニー
 3人なら立派な家庭も築けるさ
 ここへおいで ハニー
 俺と暮らしてみたいだろ?

 近頃は向こう見ずな子供たちで大流行りだ
 だからみんな託児所に入れて鍵をかけておくのさ
 イヤホンを付けっぱなしの頭と汚れた首
 彼らはまさしく20世紀の申し子だ
 しかもトイレの前に行列しやがるんだぜ
 およそ7時35分にね
 生き生きした生活を送るためにはぜひとも女のぬくもりが必要だと
 そんなふうには思わないかい

 君が目抜き通りを乳母車を引いて
 しゃなりしゃなりと歩いたらきっと素敵だよ
 さあ来いよ ハニー
 俺といっしょに生きてみたくないか?

 召使いたちは実に有能で役に立つ たいしたものだ
 料理人 あの子は娼婦だ
 執事は食料庫のドアのかげで彼女とよろしくやる寸法だ
 メイドの子はフランス生まれ しかしセンスなんかまるでない
 ありゃ「クレイジー・ホース」だか何だかのストリップ小屋の出身に違いない
 彼女が服を脱ぎ始めると おかかえ運転手はひっくり返り
 下男の目は溶け出しそう

 通りを横切れば俺たちにおあつらえ向きの場所がある
 そう思わないか
 ベッドのシーツの間には君にぴったりの場所がある
 そう思わないか?

 この曲、“Live with Me”は1969年に発表されたアルバム『Let It Bleed』に収められています。
 おそらく“
Live with Me”はこれまで私がもっともたくさん聴いたローリング・ストーンズのナンバーのひとつです。回数からいえば“Rocks Off”がいちばんだろうと思うのですが、その次くらいかもしれない。ブートレグ(海賊盤)を除けば。
 と、ここでブートの話が出てくるのがストーンズ・ファンの悲しい性です。

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第19回 レーナード・スキナード Free Bird

 Utamさんからのリクエストにおこたえ致しまして、レーナード・スキナード(Lynyrd Skynyrd)というアメリカ人グループの曲を訳しました。訳すにあたって毎日聴き返しました。そしてこう思いました。何と悲しい歌なのだろう、と。
 曲は“
Free Bird”といいます。彼らはアル・クーパーのプロデュースのもと1973年にレコード・デビューを果たしました。同年の最初のアルバムに収められています。

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「フリー・バード」
(アレン・コリンズ、ロニー・ヴァン・ザント作)

 明日にも俺はここを離れるかもしれない
 もしそうなっても俺のことを忘れないでほしい
 ともかく旅をし続けなくちゃならない
 この世には見てみたい場所がたくさんありすぎるから

 (*)仮に君のそばにとどまったとしよう
 そうなればきっと物事はこれまでどおりに行かなくなる
 なぜって俺は鳥のように自由でありたいからだ
 この自由な鳥はもはや変えられない
 なあ 鳥を変えることは無理だ
 この鳥は変えられない
 誓って言うが俺は変わらない

 さよならベイビー 甘美な恋だった それは確かにね
 でもこの気持ちを変えることはできない
 どうか悪く受け取らないでほしい
 お天道様はお見通しだ 責められるべきはすべてこの俺にある

(* 繰り返し)

 神の恵みを
 俺は変わらない
 俺は変わらない
 空高く舞い上がれ
 フリー・バードよ

 オールマン・ブラザーズ・バンドの創始者であり、デレク・アンド・ザ・ドミノズのアルバム『いとしのレイラ』収録のほとんどの作品にギターで参加した、デュエイン・オールマンという人物は、不運にも1971年10月29日オートバイ事故により亡くなりました。享年24でした。その亡くなったデュエインの愛称が「Skydog」であったことはファンの間ではよく知られた事実です。
 「
Free Bird」という題名から私が想起するのは、Skydogという言葉との符合です。フリー・バード、スカイ・ドッグ。作者たちがどういう考えで曲を作ったにせよ、聴く者の多くはそこにデュエイン・オールマンの影を見出さずにはいられません。なので今回私はそのまま「フリー・バード」と訳しました。

 今日は家の目の前の公園でちょっとしたお祭りが開かれます。晴れてよかった~。ではそろそろ準備に行ってきます。

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第18回 マディ・ウォーターズ Rollin' Stone

 すごい歌だと思います。何しろ開口一番、
「もしもナマズに生まれ変わったら、世の中の女はみんな俺に夢中になるだろう」
 と歌い始めるわけですから。マディ・ウォーターズ演奏、歌。“
Rollin’ Stone”。ブルーズのスタンダード曲です。1950年に発表されました。
 でもどうしてナマズなの??
 120回くらい考えましたがやっぱりよく分かりません。自分の芸名に「泥水」(
Muddy Waters)と名付けるような人は並大抵のたとえ方はしないのでしょう。

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「転がる石」
(マディ・ウォーターズ作)

 俺がナマズだったらいいのにな
 広くて真っ青な海を泳いでさ
 美人の女たちはぜんぶ俺のものだ
 彼女らは俺をめがけて必死に釣竿をふる
 ほらほら 思ったとおりだ
 みんな俺のことしか頭にないときてる
 思ったとおりだ

 女の家に行った
 彼女の足もとに腰を下ろすと
 女は言った
 「ねえ、マディ 早くこっちへいらっしゃいな
 夫は今出かけたばかり」
 思ったとおりだ 奴さんは出かけたばかり
 思ったとおりだ 奴さんは出かけたばかり

 お袋は親父に言ったらしい
 俺の生まれる前の話だ
 「今度生まれて来る男の子ね
 その子の将来はもう決まってるの
 転がる石になるのよ
 転がる石
 つまり根無し草ってこと」
 
ああ 確かにその子はそのとおりになった

 そろそろひと休みしたくなった
 だがな 時は長くない
 最初に煙を上げたやつに飛び乗ることにするよ
 俺は旅に出る
 俺は旅に出る
 そこで俺は再び路上の人となる

 あさって日曜日ハーフマラソンを走って来ます。天気も良さそうです。では、また。

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第17回 ザ・ローリング・ストーンズ Get Off of My Cloud

 また走る話? いやはやどうも。最近の私はこれしかないんもんで。
 走るのって重りみたいになった体を無理矢理引っ張る作業なわけです。腰痛だろうが何だろうが基本的に毎日。なのでそこには時折カンフル剤が求められます。カンフル剤としての音楽が。
 ローリング・ストーンズ。
Rocks Off
 聴きながら走るときに一番元気になって、一番希望が持てる曲がこれです。20年近い付き合いになりますがイヤフォンから流れるとさっと足にギアが入るから不思議です。でもそれは走るときの話。ミック・ジャガーとキース・リチャーズのコンビが作詞作曲したもので面白い詞と言ったら。

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俺の雲から出て行ってくれ
(ミック・ジャガー、キース・リチャーズ作)

 俺はこのでかい建物の99階に住んでいる
 
家に帰ってくつろいで 窓の外を眺め
 世界が一瞬静止したと想像してみる
 するとだ
 英国旗と見紛うような馬鹿げた衣裳に身を包んだ馬鹿な野郎が
 空から舞い込んで来た
 野郎の言うことには
 奴が手にしてる洗剤箱を集めると もれなく5ポンド当たるとよ

 (*)おいお前
 そこのお前だ!
 俺の雲から出て行ってくれ
 ここいらでうろうろしてるんじゃない
 俺の雲はな 二人いりゃそれだけで鮨詰めなんだよ
 わかるか、ベイビー

 電話が鳴っている
 「はい。あー、僕です。どちら様ですか」
 声の主が言う「もしもし。よお。そっちは元気かい?」
 おおむね元気だと思うけど、と俺
 奴は言う
 「あのね。今午前3時なんだよ。めちゃくちゃにうるさいのはどうしたわけだ?
 誰もがベッドに入って眠りたい頃だろうが。
 あんた 気分が良いとかぬかしただろ。
 だったら何だって俺のことを気が狂わんばかりに追い立てなくちゃならないんだ」

(*繰り返し)

 もううんざりだ 俺はこの手のことにはほとほと愛想が尽きた
 だからダウンタウンへドライブすることに決めた
 そこはあまりにも静かで
 平和に満ち満ちた場所だった
 人は誰もいない ほんとに見る影もなかった
 俺はすぐに地面に横たわった 何しろすごく疲れてたからね
 そのうち夢を見始めた
 朝になる
 するとだ
 車の窓にまるで何かの旗のように
 駐車違反の切符が貼りついているのが目に入った

(*繰り返し)

 タイトルのGet Off of My Cloudの「cloud」はそのまま「雲」と訳しました。リフレインのところで彼らは次のように歌います。
 
Don't hang around
 'cause two's a crowd on my cloud, baby
 
crowd」と韻を踏ませるために用いた言葉だろう、というのが私の解釈です。

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第16回 ポール・サイモン Still Crazy After All These Years

 愛あいさんのリクエストで、ポール・サイモンのStill Crazy After All These Years”を訳しました。1975年に発表された同名のアルバムに収録されています。そのアルバムは聴いたことはありませんが。「結局俺はモテモテなのさ」という彼特有の能天気さがあふれる“50 Ways to Leave Your Lover”も収録されています。恋人との関係がうまく行かないポール・サイモンのところに女友だちがやってきて彼にこう言います。恋人と別れるには50も方法があるのよ、と。

 She said It grieves me so to see you in such pain.
 I wish there was something I could do to make you smile again.

 
I said I appreciate that, and would you please explain about the fifty ways?
 
50 Ways to Leave Your Lover”)

 なんて自分でよく書くよなあ。厚かましいというか何というか。可笑しくてとてもすてきな歌です。
 では
Still Crazy After All These Years”です。邦題は「時の流れに」といいます。

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「これだけ年月が経ったのに僕はまだ彼女に夢中だ」
(ポール・サイモン作)

 昨夜昔の恋人に道で会った
 彼女は僕を見て嬉しそうだった 僕はちらっと微笑むだけ
 共に過ごした時代について話をし
 それからふたりでビールをいくらか飲んだ
 しかし驚いたな
 これだけ年月が経ったのに 僕はまだ彼女に夢中だ
 こんなに年月が経ったというのに
 今も彼女のことが好きだ

 僕は社交的な人間とは到底言い難い
 昔ながらのやり方にこだわって生きている
 耳元でささやく甘いラブソングの声にしたがうほど
 馬鹿じゃないけれど
 いまだに僕は彼女に夢中だ
 ああこんなに年月が経ったのに
 今も彼女のことが好きだ

 朝の4時 中身を放り出し あくびをひとつ
 人生なんかどこかへ行ってしまえと願う
 心配はしない
 するわけないじゃないか
 結局何もかもみんな色あせてしまうのだからね

 今僕は窓によりかかって車の流れを見ている
 ある日突然僕は誰かを傷つけてしまうかもしれない
 でも陪審員に裁かれることはないだろうよ
 彼は僕の隣人であり友人でもある
 これだけ年月が経ったのに僕は彼女に夢中だ
 気が狂うほどに
 気が狂うほどに

 これを書いているとき、隣の公園では保育園の運動会が行われてます。どん、どん、どんどんどん(大太鼓)。とことことことこ、とんとんとん(小太鼓)。いい季節です。

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