2012年5月18日 (金)

第132回 ルー・リード Ecstasy

 17歳のとき同性愛の性癖を矯正するために電気ショック療法を受けさせられたルー・リードにとって、セクシャリティは極めて深刻な問題だったはずです。けれど昔からあの人はこう言っています。
「俺がバイセクシュアルであろうが、君たちがホモセクシュアルであろうがトランスセクシュアルであろうが何だろうが、そんなことどうだっていいじゃないか。それよりもっと大切なことがあるだろ?」
 性を秘匿するのでもなく、ことさら重大に取り扱おうともしない彼の姿勢に学ぶところは大きいと思います。"Walk on the Wild Side" や "Coney Island Baby" があれほど感動的なのはそのためです。

 sally様、リクエストありがとうございました。アルバム『エクスタシー』(2000年)に収められた表題曲 "Ecstasy" の訳詞をお届けします。気に入って頂けたらさいわいです。ご質問、ご意見ございましたらお気軽におっしゃって下さい。できる限りお調べ致します。

Lou Reed - ECSTASY


「エスクタシー」
(ルー・リード作)

人は君を“エクスタシー”と呼ぶ
何を試しても君にはひっつかない
マジックテープも スコッチテープも
糊に浸かった俺の腕だってつきやしない

ナイロンで自分をくるんでも意味ないな
背中に垂れ下がった一本のダクト・テープ
愛は十二使徒の力を借り 矢に穴を開けた
君とよりを戻せそうにない

ああエクスタシー
エクスタシー
ああエクスタシー

通りの向こうに古いフォードが一台
車輪は外され エンジンもどこかに消えていた
シートの上には箱と
「さようならチャーリー。いろいろありがとう」
と書かれたメモが一枚

窓越しによだれかけをした子供を見たよ
それで俺は考えた
自分たちのこと 俺たちがし損なったこと
ハドソン川はロケットのように光を伴って舞い上がり
船は自由の女神のそばを夜に通る

人はそれをエクスタシーと呼ぶ
エクスタシー
エクスタシー

俺を聖アイヴォリーと呼ぶ奴もいれば
聖モーリスと呼ぶ奴もいる
雪花石膏のようにすべすべした俺の顔
白い筋が頰にいくつも走っている

眉毛に突き刺さったでかいピアス
腕の傷跡は「Domain」と書いてある
俺はそれを君の名前の入った刺青の上に刻んだのさ

人は君をエクスタシーと呼んだ
エクスタシー
人は君をエクスタシーと呼ぶ
エクスタシー

月が雲の中をすり抜ける
体はあおむけになったまま雑踏を漂っている
俺は時間について考え
果たせなかった出来事について考えた
君をかたく抱きしめることもできなかったし
君自身になることもできなかった

人は君をエクスタシーと呼ぶ
俺には君を抑えつけたり、妨げることはできない
今日見かけたラジオもなければエンジンもボンネットもない車
あの車になったような気持ちだ

カフェに行ってみよう
そこにいる連中が音楽がわかっていて、
演奏もしてくれるのなら言うことはない
俺たちが別れなければならないとしたら
心にまた新しい傷跡を残すことになるが
俺はそいつもエクスタシーと呼んでやるよ

ああエクスタシー
エクスタシー
エクスタシー


Ecstasy
(Lou Reed)

They call you ecstasy
nothing ever sticks to you
Not velcro, not scotch tape
not my arms dipped in glue

Not if I wrap myself in nylon
a piece of duct tape down my back
Love pierced the arrow with the twelve
and I can't get you back

Ah, ecstasy
ecstasy
Ah, ecstasy

Across the streets an old Ford, they took off its wheels
the engine is gone
In its seat sits a box
with a note that says, Goodbye Charlie, thanks a lot

I see a child through a window with a bib
and I think of us and what we almost did
The Hudson rocketing with light
the ships pass the Statue of Liberty at night

They call it ecstasy, ah
ecstasy
Ecstasy, ah
ecstasy

Some men call me St. Ivory
some call me St. Maurice
I'm smooth as alabaster
with white veins runnin' through my cheeks

A big stud through my eyebrow
a scar on my arm that says, Domain
I put it over the tattoo
that contained your name

They called you ecstasy, ecstasy
ecstasy
They call you ecstasy, ecstasy
ecstasy

The moon passing through a cloud
a body facing up is floating towards a crowd
And I think of a time and what I couldn't do
I couldn't hold you close, I couldn't, I couldn't become you

They call you ecstasy, I can't hold you down
I can't hold you up
I feel like that car that I saw today, no radio
no engine, no hood

I'm going to the cafe, I hope they've got music
and I hope that they can play
But if we have to part
I'll have a new scar right over my heart
I'll call it ecstasy

Oh, ecstasy, ecstasy
ecstasy
Ecstasy, ecstasy
ecstasy

2012年5月10日 (木)

第131回 ディープ・パープル Highway Star

 ターコイズ様からのリクエストで、ディープ・パープルの "Highway Star" の歌詞を訳しました。ありがとうございました。アルバム『マシン・ヘッド』(1972年)の一曲目に収められた、グループの代表曲のひとつ。

 今はどうか知らないですが、私の若い頃はディープ・パープルのファンはどこにもごろごろいました。黙っていてもカセットにダビングしてくれる学友がいたものです。第一期から順番に聴いて(というか聴かされて)確か『ラスト・コンサート・イン・ジャパン』(1977年)辺りで終わりました。正直ディープ・パープルはそれ以来20年近く聴いていません。『ライヴ・イン・ジャパン』(1972年)がいちばん好きだったかな。だから "Highway Star" もライヴ・ヴァージョンの印象が強いです。
 『ライヴ・イン・ジャパン』の "Highway Star" は、ジョン・ロードのオルガン・ソロが始まる前にイアン・ギランがイアン・ギランにしか出せない雄叫びを上げますね。あれが良いです。

Deep Purple - MACHINE HEAD


「ハイウェイ・スター」
(ブラックモア、ギラン、グローヴァー、ロード、ペイン作)

(*)俺の車を取れる奴はいないさ
   地の果てまでも走ってやる
   俺の車には誰も勝てやしない
   音速だってぶち抜くぜ
   必殺のマシンだ
   何でも持っている
   推進力に ぶっといタイヤ
   何でもだ

愛してる お前が必要なんだ
血を吹き出すかもしれない
こいつは荒れ狂うハリケーンだからな
いいかい しっかりつかまれよ
俺はハイウェイ・スター

誰も俺の女を取れやしないさ
永久に俺のもの
誰のものにもなりはしない
カーブにたびにぎゅっとしがみつく
ウー 最高のマシンだ
あいつはすべてを兼ね備えている
よく動く口に、ぴしっと締まった体
すべてを持ってるぜ

愛してる お前が必要なんだ
お前に種をまこう
さあ 興奮させてくれ
よし しっかりつかまれよ
俺はハイウェイ・スターだ

誰も俺の頭を取れやしない
スピードが脳の中でうなってるんだ
誰も俺の頭を奪えはしない
今また車を走らせ
それこそ天にも昇る気持ち
俺はすべてを手に入れた
疾走する大地に 開けた道
すべてだ

愛してる お前が必要さ
お前に俺の種を植えよう
8気筒は俺のもの
よし しっかりつかまれよ
俺はハイウェイ・スターだ

(* 繰り返し)

愛してる お前が必要なんだ
血を吹き出すかもしれない
こいつは荒れ狂うハリケーンだからな
いいかい しっかりつかまれよ
俺はハイウェイ・スター
俺はハイウェイ・スター
俺はハイウェイ・スター


Highway Star
(Blackmore, Gillan, Glover, Lord, Paice)

(*) Nobody gonna take my car
   I'm gonna race it to the ground
   Nobody gonna beat my car
   It's gonna break the speed of sound
   Oooh it's a killing machine
   It's got everything
   Like a driving power, big fat tyres and everything

I love it, and I need it
I bleed it
Yeah, it's a wild hurricane
Alright, hold tight, I'm a highway star

Nobody gonna take my girl
I'm gonna keep her to the end
Nobody gonna have my girl
She stays close on every bend
Oooh she's a killing machine
She's got everything
Like a moving mouth, body control and everything

I love her, I need her
I seed her
Yeah, she turns me on
Alright, hold tight, I'm a highway star

Nobody gonna take my head
I got speed inside my brain
Nobody gonna steal my head
Now that I'm on the road again
Oooh I'm in heaven again
I've got everything
Like a moving ground, an open road and everything

I love it, and I need it
I seed it
Eight cylinders all mine
Alright, hold tight, I'm a highway star

(* Repeat)

I love it, and I need it
I bleed it
Yeah, it's a wild hurricane
Alright, hold on tight, I'm a highway star
I'm a highway star, I'm a highway star

2012年4月28日 (土)

第130回 ポール・サイモン Was a Sunny Day

 レコード・コレクターズ増刊号の『無人島レコード2』(2007年1月刊行)の中で、ポール・サイモンの『There Goes Rhymin' Simon』(1973年)を無人島レコードに選んだジャーナリストの小西克哉さんはこんなふうに書いています。
「気がついたら音楽シーンをフォローしなくなっていた僕にとって、一枚のアルバムを無人島に持っていくことは、青春の追憶を旅するにひとしい。青春といっても悩み多きものでもない。60年代の早熟キッズは高橋和巳やカミュを読んで悶々とすることになっていたが、幸い僕には、ポール・サイモンがいた。十分暗いやないか、と突っ込まれそうだが、当時の僕にはポールの暗さが分かっていなかった。というか、ディランも、ビートルズも、暗いといえば十分暗いんじゃないの。今から思えばね。70年代半ばに『ニューズウィーク』誌がジョン・デンバーの特集をしたことがあった。なぜ彼が受けているのかというと、ポール・サイモンのように暗くなく、ボブ・ディランのように戦闘的でもないから。アメリカ人は彼らの世界にもう疲れた。という風な内容だったと思う。その後80年代に入って世界はもっと明るく軽くなる。でも、僕はビートルズやストーンズと違ってポール・サイモンに擦り切れを全然感じなかった。逆に何でプロ受けがイマイチなのか理解できなかった。こんなに下世話で高尚な世界を歌えるのに」(P70)

 『There Goes Rhymin' Simon』に収められた "Was a Sunny Day" に下世話な要素はありません。また特に高尚というわけでもありませんが、好きな歌なので今回訳しました。今の季節にも合っていますしね。

 無人島に何を持って行くか考えるとき、帰還が保証されている場合と保証されない場合とでその選択は大いに異なるだろう、というのが私の意見です。ちなみに私は、前者だったら志ん生さんの落語のCDを持って行くと思う。島流しの任期が終わる日までに一席か二席覚えようという魂胆です。
 では後者だったら? とてもじゃないが覚える気力なんか出ないでしょうから、ふつうに音楽を選ぶと思います。

Paul Simon - THERE GOES RHYMIN' SIMON


「よく晴れた日だった」
(ポール・サイモン作)

(*)よく晴れた日だった
   空には雲ひとつなく
   行き交う人々の横にいても
   ネガティブな言葉はひとつも聞こえなかった
   よく晴れた日だった
   木にとまっている鳥たちとラジオが
   いっしょに歌を歌っている
   好きなメロディを片っ端から

彼は海軍の兵隊だった
配属先はニューポートニューズ
彼女はハイスクールの女王だった
失うものなど何もないと本気で思っていた
ハイスクールの女王は
失うものなど何もないと本気で思っていた

(* 繰り返し)

彼女の名前はローレライ
あいつのたったひとりの恋人だった
彼女は彼を「スピードゥー」と呼んだが、
洗礼名はミスター・アールだった
彼女は彼を「スピードゥー」と呼んだが、
洗礼名はミスター・アールだった

(* 繰り返し)

よく晴れた日だったね
空には雲ひとつなく
行き交う人々の横にいても
ネガティブな言葉はひとつも聞こえなかった


Was a Sunny Day
(Paul Simon)

(*) Was a sunny day
   Not a cloud was in the sky
   Not a negative word was heard
   From the peoples passing by
   'Twas a sunny day
   All the birdies in the trees
   And the radio’s singing song
   All the favorite melodies

He was a navy man
Stationed in Newport News
She was a high school queen
With nothing really left to lose
She was a high school queen
With nothing really left to lose

(* Repeat)

Her name was Lorelei
She was his only girl
She called him Speedoo
But his Christian name
Was Mr. Earl
She called him Speedoo
But his Christian name
Was Mr. Earl

(* Repeat)

Was a sunny day
Not a cloud was in the sky
Not a negative word was heard
From the people passing by

2012年4月20日 (金)

第129回 ケニー・ロジャーズ&ザ・ファースト・エディション Ruby, Don't Take Your Love to Town

 今週の火曜日、友人のてつさんがストーンズの "Ruby Tuesday" のことをブログに書いていました。そこから私も何となく言葉の連想で(ルビーか・・・そうだそうだ。いい歌があった)、一曲訳すことにしました。
 "Ruby, Don't Take Your Love to Town"(1969年)。
 カントリー歌手のジョニー・ダレルという人が1967年に歌ったものがオリジナルです。最もよく知られているのはケニー・ロジャーズ&ザ・ファースト・エディションのカヴァー・ヴァージョンです。

 Kenny Rogers & the First Edition - Ruby, Don't Take Your Love to Town

 何しろ時代が時代ですから、当時の人々の多くは「old crazy Asian war」をベトナム戦争と思って聴いていたと思います。しかし仔細に聴けば、作者のメル・ティリスらの証言にあるとおりそれよりも古い戦争、つまり朝鮮戦争を指して言っていることが読み取れます。もちろんどちらの解釈であっても構いませんが、この歌に登場する男女がもうかつての若者同士ではないという点は忘れてはならないと思います。


 《追記》 2012/04/26

 おなじみ「Bee Gee Days」管理者のアマデウス様から、誤訳のご指摘を受けました。また歌詞の全訳も頂きました。アマデウスさんの訳詞を取り入れつつ、3、4箇所手直ししました。ありがとうございました。
 当初私は題名を「ルビー、この町に彼氏だけは連れて来るなよ」と訳していました。それについてこのような指摘がありました。

『タイトルは「ルビー、いそいそと町へ出かけるのはやめてくれ」という感じじゃないかと思います。さらに言えば「ルビー、町へ逢いびきに出かけるのはやめてくれ」でしょうか。「ルビー、この町に彼氏だけは連れて来るなよ」と言うタイトルになるには、「Ruby, Don't Bring Your Love To This Town」でなくてはいけないと思うのです。』

 翻訳をする上でやりがちな、そしていちばん気を付けなくてはらないことが私のその訳文にあらわれています。
 意味がのみ込めなかったとき、自分の持って行きたい着地点がいったん頭に浮かぶと、指示代名詞や、自動詞、他動詞の区別、時制について引っかかるところがあっても、それらを見なかったことにして、無理矢理訳してしまう。
 「to town」の「town」はあくまで総称であって、特定の町でないことは気がついていました。いけませんね。今後ともご指導のほどよろしくお願い申し上げます。

Kenny Rogers & the First Edition


「ルビー、いそいそと町へ出かけるのはやめてくれ」
(メル・ティリス作)

口紅をばっちり塗って
染めた髪を巻き上げ、カールさせる
それに考え事してるみたいだけれど
君はどこかに出かけるつもりなのかな?
壁に映る影が太陽が沈みかけていることを告げている
ルビー、いそいそと町へ出かけるのはやめてくれ

あの馬鹿げたアジアの戦争を始めたのはもちろん俺じゃない
でも誇りを持って行ったさ
それが愛国心というものであり 果たすべき義務だからだ
ああ確かにそうだよ 今の俺はあの頃の俺とは違うけれど
ルビー、そばにいてくれる人が必要なんだ

足が曲がって麻痺した男に惚れるってのは難しいことかもれん
君ぐらいな年頃の女の欲求や必要としているもの
俺にはよくわかってる
だけど聞こえてしまったよ みんなが言っていた
俺はもう長くないって
なあルビー、めかして町に出かけるなよ

ドアをぴしゃりと閉める音が聞こえたから
そろそろ出て行くんだなと思った
これまでに百回くらい聞いてる音だからよく知っている
もし動けるものなら
さっさと銃を取って 君の命を頂くところだ
ルビー、いそいそと町へ出かけるのはやめてくれ

ああルビー、頼むから
引き返してくれ


Ruby, Don't Take Your Love to Town
(Mel Tillis)

You've painted up your lips
And rolled and curled your tinted hair
Ruby, are you contemplating going out somewhere?
The shadow on the wall tells me the sun is going down
Oh Ruby, don't take your love to town

It wasn't me that started that old crazy Asian war
But I was proud to go and do my patriotic chore
And yes, it's true that I'm not the man I used to be
Oh Ruby, I still need some company

It's hard to love a man whose legs are bent and paralysed
And the wants and the needs of a woman your age, Ruby, I realize
But it won't be long, I've heard them say, until I’m not around
Oh Ruby, don't take your love to town

She's leaving now 'cause I just heard the slamming of the door
The way I know I've heard it slam one hundred times before
And if I could move I'd get my gun and put her in the ground
Oh Ruby, don't take your love to town

Oh Ruby, for God's sake, turn around

2012年4月13日 (金)

第128回 バッファロー・スプリングフィールド Bluebird

 ボニー・レイットの作品に "Thank You"(1971年)という歌があります。あんなに素晴らしい歌なのに知ってる人はほとんどいないんじゃないかと思うのだけれど、その原因のひとつは収録されたアルバムのジャケットにあると思います。一体これが22歳直前の女の子の写真なのか? 新人の歌手のデビュー・アルバムにこんなジャケットを選んでしまうのだから、レコード会社の考えることは底が知れません。
 その "Thank You" が最近 YouTube にアップされました。
 ともかく私は胸が締め付けられるほど好きな歌なので積極的に宣伝する次第です。リンク先をはります。
 Bonnie Raitt – Thank You (YouTube)

 ボニー・レイットのデビュー・アルバムには、バッファロー・スプリングフィールドの "Bluebird"(1967年)のカヴァーも収められていました。それを思い出して今回は "Thank You" ではなく、"Bluebird" を訳しました。

Buffalo Springfield Again


「青い鳥」
(スティーヴン・スティルス作)

僕の青い鳥の笑い声を聞いたかい?
わけは言わないだろうが
心の奥底では
ひとりさみしく泣いていることを
彼女はよく知っている

彼女はとまり木のちょうど真上に座った
見たこともない不思議な青い色
今や飛ぶことを忘れ
君のことばかり考えている
ただ君だけを

あらゆる憂鬱をかき集めると
きっと何千もの色合いになるだろう
君もすぐにわかるだろうけれど
それは本来の使われ方とは違ってるんだ

何物にも形容しがたい
彼女の目の深さにうっとりして
君は思わず座り込む
あの娘には魂がある
あの娘には魂がある

そもそも君は彼女が君を愛していると思っているのか?
本当にそう思っているのか?

やがて彼女は飛び立つだろう
悲しみは彼女だけのもの
涙は自分のために 思う存分流せばいい
そうしたらうちにお帰り
うちにお帰り


Bluebird
(Stephen Stills)

Listen to my bluebird laugh
She can't tell you why
Deep within her heart, you see
She knows only crying
Just crying

There she sits, aloft a perch
Strangest color blue
Flying is forgotten now
Thinks only of you
Just you, oh yeah

So, get all those blues
Must be a thousand hues
And be just differently used
You just know

You sit there mesmerized
By the depth of her eyes
That you can't categorize
She got soul, she got soul
She got soul, she got soul

Do you think she loves you?
Do you think at all?

Soon she's going to fly away
Sadness is her own
Give herself a bath of tears
And go home, and go home

2012年4月 7日 (土)

第127回 ジミ・ヘンドリックス Little Wing

 久しぶりにジミ・ヘンドリックスを取り上げます。ジミ・ヘンと言えば "Little Wing"。"Little Wing" と言えばドゥエイン・オールマンの泣きのギター。デレク・アンド・ザ・ドミノズの『レイラ』。
 若い頃、いろんなベストテンを考えてはノートの隅に書いておりました(主に授業中)。音楽も洋邦に分けて飽きもせずよく書いていましたね。イントロ・ベストテンとか。で、洋楽のオールタイムベストテンに必ず顔を出していたのが件の "Little Wing" でした。暇だったんでしょう。アーティスト名のところをジミ・ヘンにするべきか、ドミノズにするべきかでいつも真剣に悩んでいました。

 ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのセカンドアルバム(1967年12月発売)に収められた名曲です。

Axis: Bold as Love


「小さな翼」
(ジミ・ヘンドリックス作)

少女が雲の中を歩いている
その子の心はサーカス団のように飛び回る
蝶々
シマウマ
月の光に
おとぎ話
それが彼女が考えることのすべてだ
風といっしょに
空に浮かんだまま

僕が悲しんでると すぐにそばにやって来て
千回でも微笑んで
僕を解放してくれる
「大丈夫よ」と彼女は言う
「大丈夫。心配ないわ。
もし望むのなら
あなたが欲しいもの、
私から何でも持っていきなさい。
何でも」

飛び続けろ
小さな翼よ


Little Wing
(Jimi Hendrix)

Well, she's walking through the clouds
With a circus mind that's running round
Butterflies and zebras and moonbeams
And fairy tales
That's all she ever thinks about
Riding with the wind

When I'm sad, she comes to me
With a thousand smiles she gives to me free
It's alright, she says, it's alright
Take anything you want from me, anything
Anything

Fly on, little wing

Yeah yeah yeah, little wing

2012年4月 1日 (日)

第126回 ザ・ビートルズ Penny Lane

 4月になりました。
 新年度のスタートです。
 自分の身の周りだけでなくとも、世の中はだいたい辛いことばかりですが、「喜び過ぎず悲しみ過ぎず、テムポ正しく、握手をしませう」(@中原中也)の精神で新しい年度を明るく迎えたいと思います。桜も咲き始めまていますし。

 そんなわけでビートルズの "Penny Lane" を訳しました。ポール・マッカートニーが書き、歌いました。1967年のシングル曲です。

Penny Lane, Strawberry Fields Forever


「ペニー・レイン」
(ジョン・レノン、ポール・マッカートニー作)

ペニー・レインの床屋さん
お店に飾られた無数の頭の写真は
彼の喜びのしるし
道行く人が立ち寄っては挨拶をするよ

角に立つのは 車を持ってる銀行家
小さな子供らは 陰に隠れて彼のことを笑ってる
だって土砂降りでもなんでもさ
レインコートをちっとも着やしない
とてもおかしいね

ペニー・レインはまだ僕の目の中、耳の底にある
郊外の青空の下
僕はそこに座り、
ふっとあの頃に戻る

ペニー・レインには 砂時計を持った消防士がいる
女王陛下の写真をポケットにしのばせて
精魂込めて消防車を磨き上げる
それはもうまばゆいばかり

ペニー・レインはまだ僕の目の中、耳の底にある
4ペニーのフィッシュ・アンド・チップス
フィンガー・パイ
夏だ――
ふっとあの頃に戻る

環状交差路の真ん中にあるバスの待合所
その陰でかわいい看護婦さんが
トレイに載せたケシの花を売っている
まるでお芝居の中にでもいるような気持ちで
でもとにかく売ってることに変わりはないね

ペニー・レインの床屋は次の客のひげを剃る
さっきの銀行家が順番待ちで座ってるのを僕たちは目にする
すると土砂降りの中から
消防士が飛び込んできた
なんだかおかしいね

ペニー・レインはまだ僕の目の中、耳の底にある
郊外の青空の下
僕はそこに座り、
ふっとあの頃に戻る

ペニー・レイン!


Penny Lane
(John Lennon, Paul McCartney)

Penny Lane there is a barber showing photographs
Of every head he's had the pleasure to know.
And all the people that come and go
Stop and say hello.

On the corner is a banker with a motorcar,
The little children laugh at him behind his back.
And the banker never wears a mac
In the pouring rain, very strange

Penny Lane is in my ears and in my eyes,
There beneath the blue suburban skies
I sit, and meanwhile back

In Penny Lane there is a fireman with an hourglass
And in his pocket is a portrait of the Queen.
He likes to keep his fire engine clean,
It's a clean machine.

Penny Lane is in my ears and in my eyes,
A four of fish and finger pies
In summer, meanwhile back

Behind the shelter in the middle of the roundabout
The pretty nurse is selling poppies from a tray.
And though she feels as if she's in a play
She is anyway.

Penny Lane, the barber shaves another customer,
We see the banker sitting waiting for a trim
And then the fireman rushes in
From the pouring rain, very strange.

Penny Lane is in my ears and in my eyes,
There beneath the blue suburban skies
I sit, and meanwhile back
Penny Lane is in my ears and in my eyes,
There beneath the blue suburban skies...

Penny Lane!

2012年3月26日 (月)

第125回 ロリー・ギャラガー A Million Miles Away

 Utamさんからロリー・ギャラガーのリクエストを頂きました。
 1973年に発表された "A Million Miles Away"。
 教えて下さった74年の非公式のライヴ・ヴァージョン、スタジオ・ヴァージョン、『Irish Tour '74』に収録されている公式ライヴ・ヴァージョン、それぞれみんな聴きましたが、ライヴ以外考えられない、と思いました。それゆえ歌詞も『Irish Tour '74』のものに依拠して訳しました。Utamさんへ。米国在住のお友だちの方にもよろしくお伝え下さい。

 ロリー・ギャラガーの特徴と言えば、あの上下おんなじ色のGジャン、ジーパンのステージ衣装です。かくいう私も20代のときに買ったラングラーのGジャン、ジーパンで未だに街なかを歩いています。先月41歳になったというのにね。困ったもんだ。

 それから昨日、「穂の国 豊橋ハーフマラソン」という大会でハーフを走ってきました。友人のSさんは強風の中でも記録更新! やるう。私のタイムは1時間32分15秒でした。


 《追記》  2012/03/27

 本日Utamさんより、
「Jointは 建物 だと思います。私のサンフランシスコの友人が使っていたのをマリワナ以外の使い方で聞いたことがあります。」
 とのご指摘を受けました。
 「The joint is jumpin'」の解釈には頭を悩ませていたのですが、ここは「バーは大騒ぎ」というニュアンスなのですね。ご教示ありがとうございました。それならしっくり来ます。確かにマリワナじゃ雰囲気も台無しです。よって「酒場」に変えて訳し直しました。

Rory Gallagher - IRISH TOUR '74


「心ここにあらず」
(ロリー・ギャラガー作)

客で満員のホテルのバー
ピアノ弾きは力を出し切るつもりでいる
なじみのバーテンダーは教会の尖塔みたいにそそり立っている
だからさ
どうして今夜俺は渋い顔をしてなくちゃならない?
酒場は勝手に大騒ぎ
俺にはとても付き合い切れない
またたく間にブルーズに取り囲まれる
でもしばらくすれば脱け出せるさ

確かに俺は心ここにあらずだ
百万マイルも突き飛ばされた
寒風吹きすさぶ湾岸に漂う流木は
この俺だ
寒風吹きすさぶ湾岸に・・・

心ここにあらずだ
百万マイルも突き飛ばされた
寒風吹きすさぶ湾岸に漂う流木は
この俺だ

俺がどう思ってるかだって?
なぜそんなこと尋ねる?
一体それが君に何だというのだろう
俺は落ちるところまで落ちた
船長も船員もすべて失ったよ

埠頭に立つ
俺以外誰もそこにはいない
真っ青な海を望むあの場所なら
君にも見つけられるだろう

誰もが歌を口ずさみ
部屋は笑顔で溢れ返り
そこかしこで人々の話し声が聞こえる
だが俺はブルーズを抱えて しゃがみこんでいる

ホテルのバーの客は残らずいなくなった
ピアノ弾きは最終便のバスを捕まえ、
例のバーテンダーは隅でぶっ倒れていた
でもなぜか俺はここから動けない
なぜなのかまったくわからない
わからない

心ここにあらずだ
百万マイルも突き飛ばされた
寒風吹きすさぶ湾岸に漂う流木は
この俺だ
俺を連れ出してくれ


A Million Miles Away
(Rory Gallagher)

This hotel bar is full of people
The piano man is really laying it down
The old bartender is as high as a steeple
So why tonight should I wear a frown?
The joint is jumpin' all around me
And my mood is really not in style
Right now the blues flock to surround me
But I'll break out after a while

Yes I'm a million miles away
I'm a million miles away
I'm sailing like a driftwood on a windy bay
On a windy bay

I'm a million miles away
I'm a million miles away
But I'm sailing like a driftwood on a windy bay
On a windy bay

Why ask how I feel
Well, how does it look to you?
I fell hook, line and sinker
Lost my captain and my crew

I'm standing on the landing
There's no one there but me
That's where you'll find me
Looking out on the deep blue sea

There's a song on the lips of everybody
There's a smile all around the room
There's conversation overflowing
But I sit here with the blues

This hotel bar has lost all its people
The piano man has caught the last bus home
The old bartender just collapsed in the corner
Why I'm still here, I just don't know
I don't know

I'm a million miles away
A million miles away
I'm sailing like a driftwood on a windy bay
On a windy bay

I'm a million miles away
A million miles away
I'm sailing like a driftwood on a windy bay
Send me away...

2012年3月21日 (水)

第124回 ザ・ビートルズ She Came in Through the Bathroom Window

 村上春樹さんの小説『羊をめぐる冒険』に「羊抜け」という言葉が出て来ます。
 あの「羊抜け」というのは、『アビイ・ロード』を作ったあとのジョン・レノンとポール・マッカートニーのことを指してるんじゃないでしょうか? これが私の解釈です。こんなことを言うときっと怒る人がいると思います。だからほんとうは書かない方がいいのですが、書かずにはいられないので書くことにします。

 ザ・ビートルズ、"She Came in Through the Bathroom Window"。
 『アビイ・ロード』(1969年)のB面に収録された曲です。ポールの作品です。

The Beatles - ABBEY ROAD


「彼女は風呂場の窓からのこのこ入って来た」
(ジョン・レノン、ポール・マッカートニー作)

彼女は風呂場の窓から入って来たんだ
銀のスプーンで身を護りながら
でも今は親指をくわえ 考え事をしている
彼女だけが知る礁湖の岸辺で

誰も彼女に言わなかったのか?
誰も見てなかったのか?
日曜日は月曜日に電話をかけ
火曜日は僕と電話中

私は前からずっと踊り子だったのよ、
と彼女は言った
一日にクラブを15軒もまわるの
彼女は僕が答えを知っていると思っていたようだけれど
僕は言うべきでないことは心得ていた

だから僕は警察を辞めたんだ
それで安定した仕事も見つけた
彼女も彼女なりにベストを尽くして僕を助けようとした
でもね コソ泥くらいはできたとしても
あの子に強盗はとても無理

誰も彼女に言わなかったのか?
誰も見てなかったのか?
日曜日は月曜日に電話をかけ
火曜日は僕と電話中

オーイェー


She Came in Through the Bathroom Window
(John Lennon, Paul McCartney)

She came in through the bathroom window
Protected by a silver spoon
But now she sucks her thumb and wonders
By the banks of her own lagoon

Didn't anybody tell her?
Didn't anybody see?
Sunday's on the phone to Monday
Tuesday's on the phone to me

She said she'd always been a dancer
She worked at fifteen clubs a day
And though she thought I knew the answer
Well, I knew what I could not say

And so I quit the police department
And got myself a steady job
And though she tried her best to help me
She could steal, but she could not rob

Didn't anybody tell her?
Didn't anybody see?
Sunday's on the phone to Monday
Tuesday's on the phone to me

Oh yeah

2012年3月17日 (土)

第123回 ハリー・ベラフォンテ Jamaica Farewell

 子供のころ家にあったレコードはクラシックが半分、歌謡曲、ポップス、ジャズが半分という感じでした。よく聴いたのはポップスとジャズでした。今日はその思い出の曲から一曲。
 グレン・ミラー楽団「ムーンライト・セレナーデ」。ニール・セダカ「恋の日記」。ペリー・コモ「星を見つめないで」。ディーン・マーティン「誰かが誰かを愛してる」。アーサ・キット「セ・シ・ボン」・・・何にしよう? 悩んだ末選んだのはハリー・ベラフォンテです。「バナナ・ボート」で有名な1927年生まれのアメリカの歌手です。今月85歳を迎えたようです。

 "Jamaica Farewell"。
 邦題は「さらばジャマイカ」と言いました。1956年の歌です。

Harry Belafonte


「さらばジャマイカ」
(ロード・バージェス作)

道行けば 夜はいつでもきらびやか
山の上の太陽が 陰ることは一度もない
帆船に乗って旅をしていたとき
寄港先のジャマイカで ひと休みしたんだ

(*)悲しいけれど
   僕は航海の途中
   次はいつ戻れるのか分からない
   心は沈む
   頭は何度も振り返る
   キングストンの町で別れなければならなかった、
   ひとりの少女

いたるところで耳にする笑い声
女の子たちはあっちでもこっちでも
腰を振って踊っている
僕は打ち明けなくちゃいけない
北はメイン州から南はメキシコまで
あらゆるものを見て来たけれど
心はいつもあそこに帰って行った

(* 繰り返し)

市場に行けば聞こえるだろう
頭に荷をのせた女たちが通るときの叫び声
うまい料理と言えば アキー・ライスに塩魚
ラム酒はどの季節に飲んでも最高だよ

(* 繰り返し)

道行けば 夜はいつでもきらびやか
山の上の太陽が 陰ることは一度もない
帆船に乗って旅をしていたとき
寄港先のジャマイカで ひと休みしたんだ

(* 繰り返し)

悲しいよ
僕は航海の途中
次はいつ戻れるのか分からない
心は沈む
頭は何度も振り返る
キングストンの町で別れなければならなかった、
ひとりの少女


Jamaica Farewell
(Lord Burgess)

Down the way where the nights are gay
And the sun shines daily on the mountain top
I took a trip on a sailing ship
And when I reached Jamaica I made a stop

(*) But I'm sad to say, I'm on my way
   Won't be back for many a day
   My heart is down, my head is turning around
   I had to leave a little girl in Kingston town

Sounds of laughter everywhere
And the dancing girls swaying to and fro
I must declare my heart is there
Though I've been from Maine to Mexico

(* Repeat)

Down at the market you can hear
Ladies cry out while on their heads they bear
Ackee rice, salt fish are nice
And the rum is fine any time a year

(* Repeat)

Down the way where the nights are gay
And the sun shines daily on the mountain top
I took a trip on a sailing ship
And when I reached Jamaica I made a stop

(* Repeat)

Sad to say, I'm on my way
Won't be back for many a day
My heart is down, my head is turning around
I had to leave a little girl in Kingston town

«第122回 ジョニ・ミッチェル The Circle Game

フォト
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

お友だちリンク

  • 小倉寺村より
    荷物まとめて我が家に戻る 揺れる惑星 私はきっと自由になる――ボブ・ディランの訳詞をされています。
  • Ain't Nothing But a Blues
    コンサートと石仏の写真を撮り続けているUtamさんのBlues日記。リクエストいつもありがとうございます。
  • OFF HOLLYWOOD MOVIES
    アメリカ在住のSYCOさんの無類に面白い最新映画紹介サイトです。
  • the Songs to Remember
    流れ流れてアメリカ南部に着いたSYCOさん。こちらでロックの訳詞サイトも運営されています。
  • カフェマリーナの日記
    湘南のライフスタイルをお届けする2匹のワンコとMelodyさんのブログです。映画と音楽の情報もあり。
  • ROLLING TECHNICIAN BLOG
    「未だ転がるおっさん」こと、てつさんの愛とロックとお酒のブログ。マラソンのお話も楽しいです。
  • Bee Gees Days
    「ファン歴合計○百年」のビージーズ・ファンによる、ビージーズの我が国いちばんのファンサイト。
  • しあわせのはっぱ +心葉+
    てつさんのブログを通じてご縁ができました。テーマは「最愛の人とすごす記憶の積み重ね」です。
  • Walk On The Backstreets
    私よりも少し早く訳詞と音楽の紹介のブログを始めた、Backstreetsさん。良い歌をたくさん訳してらっしゃいます。ローラ・ニーロはいつか私も・・・。
  • TUMBLING TETSU
    てつさんのブログは2011年9月から母屋が変わりました。こちらのブログです。
  • comme d'habitude ...
    ダンスの先生で、フランス語が堪能で、美人のDDさん。「セブンと遊ぼう」のコーナーが最高です!

その他のリンク

2012年5月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ